あなたらしく 自分の道を選べるように。 -不妊医療機関への受診を考える人に向けたリーフレット-

資料編

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I医療機関受診における選択肢について


図1(クリックで拡大)
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II不妊の原因について


図2(クリックで拡大)
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またこれまでの妊娠の有無に着目する場合は夫婦間で過去に1回も妊娠に至らない「原発不妊」と夫婦間で少なくとも1回は妊娠が成立したものの、その後は生殖可能な年齢でありながら妊娠しない「続発性不妊」に分類されます。

III不妊の検査について


不妊の検査について以下で図示しました。表1の番号と照らし合わせてご参照ください。

図3不妊の検査(クリックで拡大)
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表1

検査の名前

目的

長所

短所

病院で
行う

1.基礎体温

・基礎体温測定により排卵の有無とその時期黄体機能不全の有無を判定できる。

・家庭でもある程度の排卵日を予想することが出来、安価である。

毎日同じ時間に測定しなくてはいけず、ストレスとなりやすい。

正確な排卵日はわからず、二相性であっても排卵があるとは限らない。

×

2.血中ホルモン測定

黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)、卵胞ホルモン(エストロゲン)などの値を採血により測定する。

・採血により行うため、患者に対して負担が少ない。

・比較的簡便に数種類の重要な生体情報を得ることができる。

・採血時の痛みがある。

3.染色体検査

生殖能力と関係した染色体に異常があると、卵巣の発育が悪くなったり、流産の原因となるため、採血をして血液中のリンパ液を培養し、染色体の数や構造に異常がないかを調べる。

・排卵障害や不育との関連情報を得る事が出来る。

・居住する地域によっては遺伝カウンセリングの体制が整った施設へのアクセスが容易でない。

4.腹腔鏡検査

腹腔内や生殖器官を直接視覚化することで卵管の疾患(卵管閉塞・卵管水腫・卵管采癒着)や子宮内膜症、腹腔内癒着のような異常を診断することが出来る。

・色素液(イソジゴカルミン)を用いて、卵管の疎通性を確認できる。卵管周囲の癒着がある場合には、発見と同時に剥離が出来る。

・観察しやすいように腹腔省内に炭酸ガスを入れるため、術後に軽度の腹部膨満による苦痛や肩の痛みを生じる事がある。

5.子宮卵管造影

卵管の疎通性、閉塞部位などを測定するための検査(誤診率15%)

 

・造影剤が機械的に卵管を洗浄し、軽度な癒着を剥がし卵管内の線毛も刺激するなどにより、検査後の妊娠率が上がることが報告され、治療的な手段としても用いられることがある。

・痛みを伴うことがある

・卵に対する卵管采の捕捉や卵管の輸送メカニズムを評価することは出来ない。

6.超音波検査法

卵胞のサイズ(卵子の成熟と相関する)や子宮内膜の肥厚(着床環境)を測定するのに役立つ

・診察室で行えて、直ちに診断できる。

・痛みが少なく安全である。経腹超音波と比べると分解能が高く、細かな観察が可能。

・子宮奇形の診断度は低い。

・腹腔内の病変や卵管の状態・卵巣と卵管の位置関係などはわからない。

7.子宮内膜検査

子宮内膜組織診を行うことによりその内膜が月経開始後または排卵後の何日目の内膜に相当するかという器質的な変化と性ステロイドに対する反応性を知ることができる。

・本検査による正常な『時期にある』という結果は適切な黄体期を強く示唆する。

 

・軽度-中等度の急激は腹痛、痛みによる眩暈がある場合がある。

・侵襲性であることと時間・費用が追加されることで現在はほとんど実施されなくなっている。

8.ヒューナーテスト

早朝、性交した後に、頸管粘液中で精子が元気に運動していることを確認する検査である。排卵期の性交渉12時間以内に行う。

・頸管粘液とともに精子と頸管粘液との相互作用をみることが出来る。

・男性因子や抗精子抗体の存在の有無を発見する助けとなる。

・比較的安価。

・ヒューナーテストが不良であっても妊娠している症例もあり、妥当性が低い。

9.頸管粘液検査

頸管粘液の量、透明性、粘稠度、シダ状結晶(乾燥させたときに見えるシダの葉のような結晶)の形状、牽糸性(伸び具合)などを調べる。

・子宮頸管因子の把握に有用。ほとんど痛みもなく簡便に行える。

・不快である。

・排卵時期を正確に特定するのは難しい。

10.精液検査

4-5日間の禁欲期間の後、採取した精液から精液量、精子濃度、運動率、正常形態率(または奇形率)、生存率、白血球数について調べる。

・精子の数や運動性について客観的に評価することが出来る。

・比較的安価で時間も要さない。

・男性の協力がないと行えない。心理的な不安やプレッシャーになることがある。

測定器具や測定方法、測定者の熟練度により検査精度が変わる。

 

11.精巣生検

一般精液検査で無精子症や乏精子症と診断された場合に、造精機能を調べるための検査である。腰椎麻酔を行なって精巣組織の一部を採取し、精子の存在を確認する。

・精子がまったく存在しないのか、どこかのステップで造精機能が低下しているのか、あるいは精管に問題があり精子が輸送できないのかがわかる。

・麻酔と小切開を必要とするため、出血・疼痛・感染の可能性がある。

 

12.精管精嚢造影検査

精管の閉塞の有無を調べる検査。陰嚢を少し切開し、造影剤を注入してX線撮影する。

・精管の開通性、精嚢の状態がわかり、閉塞部位が確認できることで精路再建術へとつなげられる可能性がある。

・小切開を必要とし、造影剤を体内に入れるなど、やや侵襲的である。

 

13.染色体検査

無精子症・乏精子症と関連する染色体の構造や数の異常の有無がわかる。

・造精障害や不育との関連情報を得ることが出来る。

・居住地域によっては、遺伝カウンセリング

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IV不妊治療について

表2

主な治療法

どんな場合に行うか

費やす期間

妊娠率の目安

備考

性交

タイミング指導

 

 

妊孕性低下症

軽症不妊症

 

不妊の原因が判明しているときは薬物療法と合わせて半年-1年ぐらい

 

   

薬物療法

クロミフェン療法

排卵障害

妊娠率25-30%

多胎率4%

 

ゴナドトロピン療法

排卵障害

妊娠率20-40%

卵胞ホルモン剤

頸管粘液分泌不全

 

黄体ホルモン剤

黄体機能不全

 

偽閉経療法

軽度の子宮内膜症や

子宮筋腫

 

男性ホルモン投与

造精機能障害

 

 

手術療法

・子宮筋腫(5-6cm以上)や子宮内膜ポリープ

・子宮奇形の一部

・進行した子宮内膜症

・卵管障害

・精索静脈瘤

・精路通過障害

治療後不妊治療が不要になるとは限らない

 

人工授精

・乏精子症や精子無力症など精液の量・濃度・運動率などが負傷の場合

・頸管粘液分泌不全など精子が子宮に侵入しにくい場合

・ペニスや膣の形に問題がある場合

・逆行性射精、勃起障害(ED)や射精障害など性機能がある場合

・周期あたりの妊娠率は5-20%、人工授精で妊娠する例では5回の人工授精までで累積妊娠率は100%。

・人工授精で妊娠する人は5-6回ぐらいまでに成功しているので、通常は6-7回ぐらいが上限と考える。

 

体外受精

胚移植(IVF-ET)

・両方の卵管の閉鎖

・卵子を卵管内に取り込めないピックアップ障害などの卵管障害

・乏精子症や精子無力症等により配偶者間人工授精(AIH)を行っても妊娠しない場合

・女性に抗精子抗体があり受精が困難な場合

・薬物療法や手術で子宮内膜症の治療を行っても妊娠しない場合

・機能性不妊などの場合

 

・胚移植(IVF-ET)の採卵あたりの妊娠率は22.0%、移植当たりの妊娠率30.4%。

妊娠あたり多胎妊娠率15.2%。

妊娠あたり流産率23.8%。

 

排卵を自然に任せる場合もあるが、排卵誘発剤も投与するのが一般的。

配偶者卵管内移植法(GIFT)

 

妊娠率では体外受精-胚移植(IVF-ET)に勝るが、受精が確認できないという難点がある。

卵管の少なくても一方が通っていることが条件

接合子卵管内移植法(ZIFT)

・排卵障害、機能性不妊、子宮内膜症を原因とする不妊

・卵管采で卵子を取り込めないピックアップ障害

・男性不妊や免疫性不妊

 

卵管の少なくても一方が通っていることが条件

受精卵・精子の凍結保存

高度の乏精子症で、治療に必要な精子が一度に得られない場合など

移植あたり妊娠率32.7%。移植あたり生産率19.9%。

 

胚盤胞移植法

早期胚移植で妊娠しない場合

妊娠率が格段に良くなる(30%)

 




卵細胞質内精子注入法(ICSI)

・強度の乏精子症、精子無力症、奇形精子症、無精子症といった重症の男性不妊の場合。

・精子や卵子の受精能力に問題がある「高度受精障害」の場合

・顕微授精全体の採卵あたりの妊娠率は20.0%、移植当たりでは26.2%。

・また妊娠当たりの流産率は22.8%

・原因によっては、体外受精を経ずに顕微授精を行うこともある。

 

V体験者の意思決定プロセスの紹介


「私たち」らしく選択出来るように。ここでは3人の方の体験談を紹介していきます。

ケース1 検査も治療も受けなかったAさん

子どもが欲しい、でも病院はいや、そんな思いで引き裂かれるような毎日でした。5年悩み、検査も治療も受けないと決めました。自然に授かれば一番ですが、一方で子どものいない人生のことも、少しずつ考え始めています。

ケース2 検査・治療を受けたけれど、少しお休みすることにしたBさん

結婚が遅く、気づいたら治療3年、38歳になっていました。治療しないと子どもはできないという怖さ、子どものいない人生など考えられないという思い…。でも、少し疲れたのも確かです。ほんの少しだけ、休んでみることにしました。

ケース3 検査・治療の結果、妊娠出産したCさん

 数回の体外受精で妊娠・出産しました。不妊治療でいろいろなことが思うようにならないと知りました。育児も同じ、思ったようにならないのがあたりまえと受けとめています。不妊で経験したいろいろなことを忘れず、わが子の個性や人生を尊重するような子育てをしていきたいと思っています。

ケース4 里親という選択肢を選んだDさん夫婦

 妻は早発閉経との診断。これ以上彼女の体に負担をかけることはできないと感じました。でも、親になるという体験はしたい。ふたりで2年話し合い、先日、里親登録をしました。

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引用・参考文献

 

1)日本産科婦人科学会  委員会報告 : 倫理委員会・登録・調査小委員会報告 

http://www.jsog.or.jp/report/index.html

2)Centers for Disease Control and Prevention ,Assisted Reproductive Technology: Home

http://www.cdc.gov/ART/index.html

3)不妊患者支援のための看護ガイドライン作成グループ(2001).不妊患者支援のための看護ガイドライン‐不妊の検査と治療のプロセス‐.

http://www.kango-net.jp/project/06/pdf/guideline.pdf

4)NICE(National Institute for Clinical Excellence)ガイドライン : 不妊治療の診療ガイドライン 

http://www.nice.org.uk/guidance/CG11

5)麻生武志(2009).インフォームドコンセントのための図説シリーズ 不妊症・不育症 改訂版.医薬ジャーナル社 

6)久保春海他(2006).不妊相談のためのマニュアル.財団法人 家庭保健生活指導センター 

7)森明子,まさのあつこ,浜崎京子編(2007).あなたらしい不妊治療のために:カウンセラーと経験者からのメッセージ.保健同人社

8)石川博通(1996).不妊症治療ガイド バイオロジーからラボワークまで.医学書院MYW

9)聖路加看護大学21世紀COEプログラム Women-Centered Care 不妊ケアプロジェクト(2006).My Choice 不妊治療 わたしらしい選択のために.

http://www.kango-net.jp/project/06/pdf/coe_16p_2.pdf

10)International Patient Decision Aid Standards (IPDAS)

http://ipdas.ohri.ca/index.html